鱧懐石料理お献立「涼月」
今回は鱧(はも)を使った献立をご紹介したいと思いますので、夏の料理や和食調理の参考にされてはいかがでしょうか。
夏の鱧懐石料理お献立
【折敷(おしき)】
一、飯
一文字飯
一、汁
合せ味噌仕立て
青ずいき、水からし
一、向付
鱧一枚落とし、梅肉和え
鱧薄造り、加減酢
鱧一夜干し
【関連】
■ 茶懐石料理の最初に出てくる御膳につきましては≫【折敷(おしき)とは】に掲載しております。
一、煮物椀
焼き目鱧すまし仕立て
焼きなす、輪ゆず、梅肉
一、焼き物
一、預け鉢 (たき合わせ)
鱧手綱巻き、かも茄子
一、強肴
鱧の子玉子締め
一、小吸い物、または箸洗い
針南瓜、もみ海苔
一、八寸
鱧の肝焼き、白瓜かみなり干し
一、香の物
たくあん、茄子、きゅうり
一、湯桶
鱧懐石の献立一例です。
他の献立につきましては≫「茶懐石料理の献立一覧」に掲載しております。
■ 鱧(はも)
鱧は昔から海で梅雨の雨を飲む頃からが一番おいしいと言われ、この時期から身に脂がのります。
そして、八月の中旬から産卵期を迎えますが、他の魚と違って味が落ちることがなく、秋になると松茸と合わせることができます。
また、魚の中でも鱧は「お造り、煮物、焼き物、蒸し物、揚げ物」などの献立に幅広く使える食材で、他の材料との相性も良いです。
鱧の生態
この魚は鱧科の海魚でウナギやアナゴと似た魚体をしており、全長が2mを超える個体も存在します。
体の上部は灰褐色、腹部は銀白色、背びれと尾びれは黒色で、うろこが無いのが特徴です。
鱧の名の語源、意味、由来
鱧は口が大きく、鋭い歯を持っており、色々なものにかみつく魚です。
そして、食物をかんでたべるという意味の言葉を【食む(はむ)】といい、鱧はすぐにものをかむことから「はむ」⇒「はも」と名づけられています。
■ 食む(はむ)という言葉は、あまり使いませんが、高知県では鱧のことを「はむ」と呼ぶ地域もあります。
鱧が京都や大阪で多く使われる理由
鱧は日本の南側の海で水揚げが多い魚ですが、歯が鋭くて小骨が多いころから、昔の四国や九州では扱いにくい魚として敬遠されていました。
しかし、海に恵まれていない京都の職人達が鱧の生命力の強さに目をつけ、関西まで運び入れて骨切りの技術を独自に開拓しました。
このことから、夏の京都や大阪では鱧料理が広く行き渡り、現在の祇園祭や天神祭りでは欠かせない食材となっております。
【関連】
【参考】
≫献立のまとめを見る
≫夏に使える飾り切りを見る
夏の料理食材につきましては≫「夏の食材50音順一覧表」に掲載しておりますので参考にされてはいかがでしょうか。