おせち料理の食材がもつ幸福への願いと意味8つ【正月料理の雑学集】

 
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料理の雑学、豆知識】おせち料理の語源、意味、由来

お正月に食べる「おせち料理の食材」には、縁起をかついだものが数多く入っており、それぞれが持つ「めでたい」意味や幸福になるための願いが込められています。

今回は、その料理から、どのおせちにも入っていそうな食材(えび、黒豆、ぶり、れん根、数の子、昆布巻き、栗きんとん、田作り)の8つをご紹介したいと思いますので、お正月の家族だんらんや和食調理にお役立てください。

正月の献立からおせち料理が持つ縁起が良い理由とは【語源、意味、理由など】

祝い料理の幸福になる意味と願い

えび「長生き」

えびには「腰が曲がるまで」という意味と「えびのように長いひげが生えるまで」の2つがあり、このことから長寿の願いを込めて正月料理やおせち、婚礼の席などの祝膳に用いてます。

■ ひげは下処理として切ることが多いですが、縁起や願かけといった理由から祝い料理のときは残す場合もあります。

海老(えび)に関連した料理内容

黒豆「無病息災」

元来「まめ」には丈夫や健康という意味がありますが、その他にも理由があり、豆⇒まめ(まじめ)に働くの語呂合わせから新年に食べます。

ぶりの焼物「出世」

ぶりは名前が変わる出世魚の代表格という理由から、出世するようにという願いが込められています。

ぶりの西京漬けの焼き物,鰤の味噌漬け

鰤(ぶり)に関連した料理内容

ぶりの照り焼きを作るときの割合

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れんこん「見通し」

れんこんには、向こう側が見える穴がいくつも開いていますので、これから1年の見通しが良くなりますようにという願いを込めて食べます。

花れんこんの酢漬け,焼き物のあしらい酢取り蓮根

蓮根(れんこん)に関連した料理内容

数の子「子孫繁栄」

数の子はにしんの卵(卵巣)で、にしんは「鰊」や「鯡」と書きますが、おせち料理や祝い膳の場合は「二親⇒両親」に例えられます。

にしんには、たくさんの子があることから子宝に恵まれますようにという「子孫繁栄」の願いが込められています。

数の子の薄皮むきと下処理のコツ

数の子の鼈甲漬け,べっこうかずのこ,紅白梅花の飾り切り

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鰊、鯡(にしん)に関連した料理内容

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昆布「子孫繁栄」

漢字に「養老昆布」という字を書き、これを(よろこぶ)と読んで祝い料理の縁起物として婚礼の席や長寿の祝膳、おせち、正月料理などに用いています。

また、昆布には「子生」の字をあてて、子孫繁栄を願う意味もあります。

たいのかぶと焼き,春の焼き物の献立,鮎昆布巻き

昆布巻きの作り方手順

栗きんとん「豊かな1年、勝ち」

きんとんには金団の字をあてて「金の団子」という意味があります。

これを黄金の財宝に例えて「豊かな1年が過ごせますように」という願いを込め、栗はクチナシ色素で色付けして鮮やかな黄色に仕上げます。

くりの甘露煮の作り方とくちなしを使った色付け方法,下ゆで手順

そして、栗には縁起物として他の理由があり、黄金の意味以外には搗ち栗と書いて(かちぐり)と読み、これは栗を使ったお菓子のことです。

この「搗ち」を同じ読みの「勝ち」に例えて、何事も勝ちにつながるようにという願いが込められるため、おせち料理や婚礼の席、祝膳などに栗を用いてます。

栗(くり)に関連した料理内容一覧

田作り、ごまめ「五穀豊穣、無病息災」

田作りは、かたくちいわしの幼魚を乾燥させたもので、お正月には欠かせない食材のひとつです。

この名は昔、田植えの祝い肴(ざかな)として用いたり、実際に田の肥料として魚を使ったことに由来しいます。

そして、別名のごまめにも同じ意味があり、こちらは五万米の字をあてて「五穀豊穣」の願いが込められています。

また、ごまめにはもうひとつの意味があり、先ほどの黒豆と同じく、忠実(まめ)ということから、体が丈夫でよく働けるようにという「無病息災」の願いも込められます。

田作り、ごまめの作り方と

【醤油だれの割合】ごまめ50グラム分

御節料理(おせちりょうり)

節会(せちえ)の供御(くご・ぐご)、供饌(ぐせん)で「節句料理」のことです。

節会とは日本の宮廷の祝い日に行われる饗宴を伴う公式行事をいいます。■供御とは天皇や皇族の食事のことで供饌は神に供え物をする行為をさし、供える食べ物などは神饌(しんせん)といいます。

古くは、五節句の人日(じんじつ 1/7)、上巳(じょうし 3/3)、端午(たんご 5/5)、七夕(たなばた 7/7)、重陽(ちょうよう 9/9)のさいに用意していましたが、のちに正月の祝饌をおせちというようになり、本来の姿は蓬莱飾り(ほうらいかざり)にあります。

蓬莱飾り

三方(さんぼう)の上に白米を敷き盛りして、熨斗鮑(のしあわび)、伊勢海老(いせえび)、搗ち栗(かちぐり)、串柿(くしがき)、昆布(こぶ)、馬尾藻(ほんだわら※じんばそうともいう)、裏白(うらじろ)、ゆずり葉、松竹梅(しょうちくばい)、橙(だいだい)などの縁起物を供えた形で飾り、現在では鏡餅(かがみもち)にその姿が表されています。

蓬莱飾りとは新年の祝儀の飾り物のことで、三方は儀式などのさいに神前に供え物をするときの白木の台をいいます。■三方は現在でも鏡餅を飾るときに用いています。(三方に穴が開いている)

上記の飾りに使用した食物などを食べやすく調理して年神(としがみ)様に供え、それを下げた人々が神とともにいただきながら祝うことを直会(なおらい)の儀といいます。

そして、これらの行為や供えた食物、植物などが、現在作られているおせち料理の元となっています。

年神は日本神話や神道の神で歳徳神(としとくじん)とも呼ばれ、元日に幸せをもたらす神様といわれています。

【追記】

おせち料理には、年始にあたり文化、経済、勤労、武勇、平安など国の安泰、子孫繁栄、五穀豊穣を祈願する縁起が込められています。

上記8つの他にも伊達巻き(だてまき)などの巻いた料理で文物、すなわち文化の発展を願い、白と黄色の錦たまごは金団と同じく財宝の意、また陣笠椎茸(じんがさしいたけ)、盾豆腐(たてどうふ)、矢羽根羹(やばねかん)などは武家時代の名残りで、日の出蒲鉾(かまぼこ)、紅白なますは節目や特別な晴れの日に使う色として国の隆盛と平安を表しています。

そして、くわいはやがて芽が出るというこの先の人生への希望、ちょろぎはえびと同じく長寿を願うというような意味を詰められた料理のそれぞれが持っています。

一般に販売されている現代のおせち料理は、和洋折衷のものが人気をはくしたり、個々の料理屋さんの好みが反映されていることが多いですから、重箱に詰められた全ての食材に幸福の願いが込められている訳ではありません。

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今回は、おせち料理の食材が持つ意味や理由をご紹介いたしました。

他の豆知識につきましては≫「おせちと正月に関連した料理の雑学一覧」にも掲載しておりますので、祝膳や正月の献立などにお役立ていただければ幸いです。

次回は違うメニューでお目にかかりたいと思います。最後まで閲覧していただき、ありがとうございました。